(大阪高決・昭和24年10月29日家月2巻2号15頁)
(大阪高決・昭和24年10月29日家月2巻2号15頁)
「一見すれば民法第769条,第71条,第749条,第751条第2項,第808条第2項,第817条等から,祖先の祭祀を主宰すべき者は相続人であるとか,被相続人と親族関係がありかつ氏を同じうすることを必要とするように解せられるようではあるが,決してそうではない。というのは,同法第897条第1項は被相続人は祖先の祭祀を主宰すべき者を指定することができ,この指定のあったときは指定された者は慣習に従って祭祀の主宰者たるべき者に優先して主宰者となり系譜,祭具等の所有権を承継する旨を定め,同時に被相続人は必らずしも前記の主宰者を相続人や親族で氏を同じうする者の内から指定することを要せず,自由に自分が適当と思う者を指定できるように規定しているからである。思うにこのように規定したのは,被相続人に一人の親族もなく,またたとえ親族があっても信頼するに足りる者がないような場合に,他人の内から適当な者を指定できるようにする必要があるためであろう。それからまた同条第2項の場合に家庭裁判所が主宰者を指定するに当っても,被相続人の前記指定と同様に自由に適当な者を指定することができるようにしたのも,大体前同様の理由によったのである。そうして見れば,前記民法第769条以下の諸規定はひっきょう単に多くの場合祭祀の主宰者が被相続人の相続人や親族で氏を同じうすることを予想したのに過ぎないものと,解釈するのを相当とする。」