(賃貸借)第601条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。 (使用貸借)第593条 使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。 |
(借用物の返還の時期) 第597条 借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない。 2 当事者が返還の時期を定めなかったときは、借主は、契約に定めた目的に従い使用及び収益を終わった時に、返還をしなければならない。ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は、直ちに返還を請求することができる。 3 当事者が返還の時期並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも返還を請求することができる。 |
(借主の死亡による使用貸借の終了) 第599条 使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。 |
建物所有者BはAを実子同然に育ててきて23年間も共同生活をおくりAはBの面倒を見てきました。Bが家を出て同居が終わっても、この建物から出ていけとは言われませんでした。Bは亡くなります。建物の所有者はBの相続人に移ります。 一方でAもその翌年に亡くなります。そして建物にはAの子が住み続けます。 Bの相続人はAが死んだことをもって「使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う。」との民法の規定に基づいて、建物から立ち退いて建物を返還するように求めました。 このケースで東京高等裁判所は、貸主と借主の家族とが長年同居してきたような場合、貸主と借主の家族との間には、貸主と借主本人との間と同様な人的関係があるというべきであるから、民法599条は適用されないものと解するのが相当であるとしました。つまり特別な人的関係がある場合には、使用貸借であってもその相続人は引き続いて借り続けることができるという結論です (東京高裁判決平成13年4月18日) |