「高校を卒業するのに4年を要し歯科大学合格のために3年程度を要することは一般にありうることであり、被相続人が開業医であったことを考慮すると、その間の生活費の負担は扶養義務の範囲というべきであり、生計の資本としての贈与には該当しない。…大学学費…(正規の課程である6年間の分)はやむを得ない負担であり、いずれも特別受益に当たら」ない。 (平成17年10月27日東京高裁決定) |
■相続人が挙式費用を被相続人から出してもらったとしても、他の共同相続人も同様に挙式費用や婚姻の支度の費用を出してもらっている場合には、特別受益にはあたらない。 (名古屋高裁金沢支部決定平成3年11月22日) ■遺産分割申立事件において、申立人の夫の身元保証をしていた被相続人が、同夫の不祥事につき金銭を支払い、同夫に対して求償しなかったことは、申立人に対する「相続分の前渡し」としての「生計の資本としての贈与」であると解するのが相当である。 (高松家裁丸亀支部審判平成3年11月19日) ■親の資産・社会的地位を基準にすると、その程度の高等教育をするのが普通であると認められる場合には、そのような学資の支出は親の負担すべき扶養義務の範囲内に入り、それを超えた不相応な学資のみが特別受益にあたる。 (京都地裁判決平成10年9月11日) ■相続人が被相続人から贈与された金銭をいわゆる特別受益と分算定の基礎となる財産の価額に加える場合には贈与の時の金額を相続開始の時の貨幣価値に換算した価額をもって評価すべきである。 (最高裁判決昭和51年3月18日) |